大テーマ
まなロラ心中(死ネタ)
人魚の設定
・人魚は船を沈める、人魚は歌で人を魅了する
・真偽が疑わしいファンタジー、尾ひれのついた伝承
・このように、人魚自身が否定する偏見の人魚像は実在する
→ 人魚はやはり人間にとって恐ろしい生き物かも知れない
→ 人魚から人間へのコミュニケーションは、思いがけず加虐的である
→ 同時に人間は被虐的な生き物であり、これは種の違いから明らかである
物語の構成要素
簡潔に整理します。
目的
2人は、寿命差によりいずれ起こる不確実かつ確定的な別れを誤りであると解釈した世界で2人が最も寄り添える終わり方を模索・定義した。
人魚が人間の命を握る、生命維持装置になること
「入水」による自死の選択。ローラが入水で死ぬことが出来ないことは種が異なることへの皮肉。
2人が最も寄り添う終わりを迎える為に、まなつは生き長らえる必要がある。
まなつはローラに「キス」をする。
キスは、愛情表現であると共に、ローラが愛する人間の生命維持装置と化すスイッチでもある。
まなつは、ローラが水中から集めた酸素を介して呼吸を共にする。
命の危機と種の保存は隣り合わせであるためこの時まなつは強い性的快感を得るが、これも自死を選んだことへの皮肉である。
人間の体には限界が来るということ
人魚とは違い、人間の肉体では強い水圧に耐えることが出来ない。
その為、深い海に沈むにつれてまなつの体は軋むようにひしゃげていく。
(水中では、まなつの寿命が肉体の形を以て可視化される)
愛する人を愛する為に殺すまなつの苦しみ
最も良い形が「2人がいつまでも一緒にいること」であるとしたら
当然2人は、少しでも長く一緒にいたいと願うのではないか
寂しがり屋のまなつは体がほぼ限界に到達するまで実行が出来なかった。
「さぁ、まなつ」
ローラから誘導されるようにして、ようやくまなつは殺人衝動を実行する。
人間が人魚を殺害することが、2人の終わりであること
まなつは、ローラの首を絞めて殺害する。
ローラが息絶えることにより、ローラの体内を循環する海水がまなつに流れ込み、まなつも絶命する。
(生命維持装置であるということは、延命を停止する為の装置でもある)
願いの通り、2人は同時に事切れる。
その他の要素
願いと石ころ
南之島のお祭り → 石に書いた願い事は、時間が経つと波で削れる
まなつとローラ → 水流に揉まれ削れていくことで命が消え、成就する
なかよしのうた
キスをされながら水中で唄うローラ
絶命と共に歌は途切れてしまう
イルカの超音波は遠くまで届く
死してもなお、ローラの歌はまた誰かを魅了する。
善か悪かではなく、加虐的か被虐的かというだけ
これは結果だけを見れば、人魚が人間を魅了した為に起こった心中
第三者からすれば、やはり人魚は恐ろしい生き物と感じる筈。
「夢のつづき」について
これは2人が望んだ夢のつづきの終わり
サブタイトルも皮肉的にしたかった。